観戦せざる観戦記

プロの将棋をもとに考えたもの

渡辺 明 竜王 vs. 佐藤天彦 名人 第67期王将戦挑戦者決定リーグ戦

 第67期王将戦挑戦者決定リーグ戦

渡辺 明 竜王 vs. 佐藤天彦 名人

この将棋、意外な展開でした。

まずは、下図。先手の渡辺竜王がずいぶんせまそうなところに飛車を持っていきました。ここで後手の手は?(3段以上)

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正解は△5二飛車。

放っておいても大丈夫そうでしたが、五筋を受けて、むしろここから反撃しようというつもりなのですね。

さて、続いて下図。名人は何を考えているのでしょうか。なんと、王が一人取り残されたような形になっています。

これで勝てるとかっこいいですが、こういう王を攻めるのは竜王の得意分野ということもあります・・・

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さて、進んだ下図、先手の2二の歩を見てください。

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この歩が実は痛いんです。

同飛車は馬ができるし、同角は、▲2四飛車から・・・あれ、どうするんでしょう、と考えてわかりました。

予想手順

△同角▲2四飛車△2三歩▲3三歩!同飛車▲2五桂!△3二飛車▲3三歩△同桂▲3四飛車!△同金▲4三銀

ずいぶん長くなりましたが、要するに△2三歩に対しては3三をたたいて2五に桂を跳ねるということなんですね。

それは困るということで、後手は反撃しました(下図)

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しかし、ここで反撃するようでは苦しいですね。

投了図

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竜王の快勝と言っていいでしょう。

しかし、竜王相手にこのような独創的な、糸谷八段でもしないような構えを見せるところに名人の懐の深さを感じる気もします。

もし竜王が相手でなければ、これほど鮮やかに負けることもなかったでしょう。