2017-10-19
郷田真隆 九段 vs. 谷川浩司 九段 第76期順位戦B級1組5回戦
重量級の一戦ですね。
谷川九段は峠は越えたといえると思いますが、今もすばらしい切れ味を見せておられます。
もちろん郷田九段も強い。どこが強いのか、私の棋力ではわからないのですが、なんとなく堂々としている感じがあります。揺らしてもびくともしない強さ、なのでしょうか?
さて、まずは3手1組の手筋から(2段)
正解は△8六歩▲同歩△8五歩打
まさに手筋ですね。
これを指すことはできるかもしれませんが、他の手もある中で、これがいいと判断するのは難しそうです。
そして進んで、この局面になりました。
後手が駒得を果たし、形勢はよさそうですが、どう指すのかとなると難しい。
正解は△4四歩。
じっとつく手に私は迫力を感じましたが、いかがでしょうか。
さて続いて今度は先手から3手1組の手筋を(2段)
正解は▲4二角成△同玉▲6三歩成
▲7二銀の割打ちを狙っていますね。
何やらもうどっちがいいのかわかりません。
このあたりで終局図にしようと思っていたのですが、今回は心が動かされたので、まだ続きます。
風前のともしびと思われる後手玉ですが、谷川九段は7手1組で受けます。
(プロクラス)
正解は
△7八と
▲ 同玉
△ 8九角打
▲ 6九玉
△ 4五金打
▲ 同桂
△ 同角成(下図)
なんとしぶとく見事な受けでしょう!
そしてまだ続きます。
今度は受からないかと思われた局面でどう指すか。
正解は△3五銀!
この手が最善なのかどうか、私にはわかりません。たとえば△4四銀等も考えられそうです。
しかし、谷川九段がこれほど頑張る指し手に、私は心が震える気がしました。
言い方が難しいのですが、決して鮮やかな手ではありません。人間的でもあり、苦しがっているだけのようにも見えます。それでも勝ちに向かって懸命に指している、そんな感じが伝わるように思えました。
そして終局図
かくして谷川九段は郷田九段を倒しました。
本当に素晴らしい将棋だと思いました。