観戦せざる観戦記

プロの将棋をもとに考えたもの

佐々木六段の大きさ

第66期王座戦一次予選

及川拓馬 六段 vs. 佐々木勇気 六段

 

詰将棋の名手及川六段、対するは、若手の筆頭株の一人、佐々木六段。

お互いに負けたくない相手だろうなあと思います。

 

さて、まずは下記の局面。後手はどう指すでしょうか(5段以上)

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正解は△3一玉!

角を切って飛車を走ると思われた方が多いと思います。私もそう思いました。

それはそれで難しいのかもしれませんが、じっと王を引く手は、いかにも強そうな手だと思いました。

 

進んで下図。

攻め込まれて不安な局面ですが、どう受けるでしょうか。(3段以上)

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正解は▲5六銀。

ここに相手から銀を打たれては困りますので、先に打ったのですね。

この手の代わりに、もし▲6五金と桂をとれば、後手から△5六銀と打たれて困りそうです。

 

さて、私にはどちらの形勢がいいのかわからない中盤を経て、下図となりました。

お互いに駒がぶつかりすぎて、何が何だかわからないところです。

ここからの双方のやり取りは、プロとしか言いようがありません。

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正解は、

△3八竜▲3三桂成
△5八竜▲同玉
△5九飛打▲4八玉
△3七歩成▲投了(下図)

 

まず後手は3八の飛車をとります。おそらく先手はこれをとってはまずいのでしょう。

そこで、上に逃げ出すべく、3三の角をとります。

そこで5八竜!

取られそうな竜を押し売りに来ました。

これをとれないとじり貧ということで同玉としましたが、5九飛車以下、おそらく詰むのでしょう。

 

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佐々木六段の大きさを感じるような一局でした。

及川六段は、終盤力を発揮する局面までもっていけなかったように思い、それが残念でした。